汗臭い満員電車は精神的にもキツいものですね。夏季になると、ドラッグストアの店頭をデオドラント商品が占領します。
汗のにおいは、アンモニアおよびメチルヘキセン酸やその他トランス型のヘキセン酸、イソ吉草酸、ダイアセチルなどの酸性の成分に起因します。
その中でも、汗特有の不快なツーンとしたにおいは主に有機酸によるものです。
「Rancid」「Cheesy」などと表現されることの多いこれらの酸はいわゆる「嫌なにおい成分」とされますが、実は果実香においては重要な役割を担います。
トロピカルフルーツに無くてはならない、まったりと熟れた感じや、いちごやラズベリーのフレッシュさを演出してくれます。助演俳優賞をあげたくなるほどの活躍をしているのです。
極めつけはレモンですね。
爽やかでジューシーなレモン果汁の香りをレモン香の秘密は、汗臭くてちょっと古雑巾を想わせる一滴のトランス脂肪酸なのです。
そういえば数年前に、緊張したときなどに顕著になる汗臭さ=「ストレス臭」が話題になりましたが、一方で最近、他人の汗臭さには不安感を和らげる効果があることがニュースになりました。 なぜ不安感が軽減されるのかはまだ解っていませんが、ひょっとして我々は無意識に仲間やパートナーを欲しがっているのかも知れません。
イーストロンドンでは、独身者が汗臭い下着を持ち寄ってにおいを嗅ぎ合う「フェロモンパーティー」が毎年開催され、お気に入りのにおいを見つけた人たちのカップルが誕生しています。
ということで、汗臭さに秘められたポテンシャル(?)を挙げてきましたが、この記事を読んだからと言って、わざと汗臭いままデートへ行くのはやめましょうね。ちょっとチャレンジング過ぎます。
長崎大学の研究報告によれば、汗を出す汗腺に嗅覚受容体が複数存在し、そのうちのOR51A7という嗅覚受容体が発汗量の制御に何らかの働きをしているとのこと。
β-イオノンというフリージアの香りのする物質を肌に塗ると、女性は発汗量が減り、男性は逆に発汗量が増加。実に不思議ですね。
レボーンは、さまざまなニオイの中にどんなキャラクターが隠れているのか、それが情緒や感性にどのように関連してくるのか、モノのニオイをばらばらに解体してプロファイリングする官能評価手法やiinioi®cloudを活用し、解き明かしていきたいと考えています。
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