こんにちは、においの専門家として様々なにおいについて探求を続けている私たちから、
今日はちょっとした変わった視点を共有したいと思います。
それは、「時間帯」が嗅覚評価にどのような影響を与えるかという話です。
私たちが企業で官能評価を行う際、特に専門家が重要な決定を行う場合、
午前中の時間帯に行うことが一般的です。
これはなぜでしょうか?
それは、私たちがにおいを感度よく評価するのに経験上、
午前中が適していると理解しているからです。
一般に10時くらいが一番調子が良いなどと言われています。
私自身も、特定の素材が何を含んでいるのかを判別できない時、
最終手段として、就寝前にその素材を枕元に置き、まだ目を開けていない状態で目覚めて
最初に知覚するにおいを嗅ぐ際が一番よく分かるという経験を持っています。
その際には、これまで判別できなかった素材中の成分などをクリアに認識できることが多々あります。
しかし、先日読んだ論文(“The Influence of Circadian Timing on Olfactory Sensitivity”、Rachel S Herz, et la, Chemical Senses, 2018)によれば、我々の嗅覚感受性は1日のうちで変動があり、
21:00に最も高くなるとの報告がありました。
これは個人差があり、1日のうちでほとんど変化しない人もいるとのことですが、
全体的にははっきりとその傾向が見られるようです。
仕事で1日鼻を使い、夕方あたりに嗅覚疲労を感じ、
細かいにおいをやや汲み取れなくなってしまったりする私たちにとって、この報告は驚きの一言です。
我々の嗅覚感度が深夜に最も高まるということは、進化の過程で、
捕食者の検出など生存に直結した行動に対して重要だったのかもしれないとのことです。
ただし、ここで一つ注意点があります。
嗅覚の「感度」と「解像度(判別力)」は必ずしも同じものではないのかもしれません。
つまり、感度が高まることが解像度を必ずしも高めるわけではないということです。
そして一般的に感度がよいと言っていることは、判別力のことを言っている可能性もあります。
これまでずっと午前中は感度がよいと思っていた理解について、考えさせられた出来事でした。
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